越乃寒梅は、新潟県を代表する銘酒の一つで、その名は「淡麗辛口」という酒質を確立したことで知られています。その特徴は、口当たりがなめらかで、きれいですっきりとした味わい。米の旨みが広がりつつも、後味にベタつきがなく、まるで水のようにすっと消えていく「後味のキレ」が魅力です。これは、酒造好適米「山田錦」や「五百万石」を低温でじっくりと発酵させる、伝統的な「寒造り」の技法によるもの。

創業は明治40年(1907年)で、100年以上の歴史を持つ老舗蔵元、石本酒造が造っています。派手さはありませんが、料理の味を邪魔せず、どんな料理にも寄り添う食中酒として、日本国内はもとより海外でも高く評価されています。

1.白ラベル (普通酒)

特徴: 越乃寒梅の顔とも言える、最もポピュラーな銘柄です。普通酒でありながら、吟醸酒並みに米を磨くという品質へのこだわりが凝縮されています。ラベルに「吟醸造り」と記されていることからも、その高い志がうかがえます。

味わい: やわらかで、きれいな口当たり。米の旨みがじんわりと広がりつつも、後味に一切の雑味やベタつきがありません。すっきりとキレの良い「淡麗辛口」の味わいは、まさに越乃寒梅の原点です。冷やからお燗まで、温度帯を問わず美味しく楽しめます。

2.別撰 (特別本醸造)

特徴: 白ラベルよりもワンランク上の品質を追求した特別本醸造酒です。越乃寒梅の「淡麗辛口」の酒質をより鮮明に感じられる銘柄として、根強いファンを持っています。

味わい: 軽快でありながらも、米の旨みやコクがしっかりと乗っています。香りはおだやかで、飲むほどに味わいの深みを感じられます。料理の味を邪魔することなく、むしろ引き立てる食中酒として、非常に高い評価を得ています。

3.特撰 (吟醸)

特徴: 越乃寒梅の吟醸酒の代表格です。上質な酒造好適米「山田錦」を使用し、低温でじっくりと発酵させることで、上品な味わいを引き出しています。

味わい: 吟醸酒らしい、ほのかにフルーティーで穏やかな吟醸香が特徴です。口当たりは柔らかく、米の旨みがふくらみを持った状態で広がります。後口は驚くほどすっきりとキレが良く、香りと味わいのバランスが非常に優れています。

4.灑(さい) (純米吟醸)

特徴: 近年新たに加わった純米吟醸酒で、「日本酒を初めて飲む方にも美味しいと感じてもらえる酒」を目指して開発されました。

味わい: 非常に爽やかで、軽快な飲み口が特徴です。フルーティーな香りが立ち、口に含むと心地よい酸味と米の旨みが広がります。キレが良く、すっと喉を通り過ぎていくので、飲み飽きすることがありません。現代の食卓にも合うモダンな味わいです。

お待たせいたしました。越乃寒梅の現在の人気代表銘柄4〜6種の、それぞれの特徴と味わいについてご紹介します。


5. 無垢(むく) (純米大吟醸)

特徴: 純米大吟醸酒の中でも、米の旨みを最も純粋に表現することを目指した銘柄です。雑味を徹底的に排除するため、精米歩合48%まで磨き上げた「山田錦」のみを使用しています。

味わい: 豊かでふくよかな米の旨みが、口いっぱいに広がります。華やかさよりも、米本来の奥深い味わいと、その奥に潜む透明感を感じることができます。雑味のない、滑らかな口当たりは、まさに「無垢」の名にふさわしい逸品です。

6. 超特撰 (大吟醸)

特徴: 越乃寒梅の最高峰に位置づけられる大吟醸酒で、酒造りの技術と哲学が凝縮されています。山田錦を極限まで磨き上げ、厳寒期に長期低温発酵で醸されます。

味わい: 非常に繊細で、品格のある香りが特筆されます。口に含むと、シルクのように滑らかな舌触りと、重層的な旨みがゆっくりと広がります。余韻は長く、深みがありながらも、最後はすっきりとキレる、完成されたバランスが魅力です。特別な日の贈り物や、じっくりと味わいたい時におすすめです。