Ⅰ.クラフトマンシップが詰まった一杯。

日本におけるクラフトビール人気の高まりとともに、今や定番スタイルとなった「IPA(インディア・ペール・エール)」。その最大の魅力は、口いっぱいに広がるホップの華やかな香りと、ガツンとくる力強い苦味にあります。柑橘やトロピカルフルーツ、松やハーブを思わせるアロマ、そして喉に心地よい刺激が、飲む人に忘れられない体験をもたらします。

※お酒は20歳を過ぎてから。未成年者への酒類の販売は固くお断りしております。

一言でIPAといっても、その表情は実に多様です。ホップの個性をシンプルに楽しむウェストコーストIPA、濁りとジューシーな香りが特徴のニューイングランドIPA(ヘイジーIPA)、アルコール度数を抑え軽快に楽しめるセッションIPAなど、それぞれのスタイルが独自の魅力を持っています。

特に日本のクラフトビールシーンでは、このIPAに独自の進化が起きています。和柑橘や緑茶、山椒といった和の素材を取り入れた「和IPA」は、日本の風土や食文化と見事に調和し、世界からも注目を集める存在です。和の感性と職人技が光る、日本のIPAビールの奥深い世界を、ぜひ一緒に旅してみませんか。この記事が、あなたにぴったりの一杯を見つけるきっかけになれば幸いです。

1. 王道系・クリアIPA (ウェストコーストスタイルIPA)

特徴と味わい: 澄んだ黄金色で、ホップ由来の強烈な苦味と柑橘・松のようなシャープな香りが特徴。ドライな口当たりでキレが良く、ホップの苦味が後味に長く残ります。IPAの原型ともいえるスタイルで、ホップの個性をストレートに楽しめます。しっかりとした苦味が好きな方におすすめです。 代表銘柄:

  • ヤッホーブルーイング「インドの青鬼」: 日本のIPAを代表する存在。強烈なホップの香りと苦味が特徴。
  • 箕面ビール「IPA」: ホップの華やかな香りと苦味のバランスが良い定番。

2. ジューシー系・ヘイジーIPA (ニューイングランドスタイルIPA)

特徴と味わい: 酵母やホップ由来のタンパク質で濁りが強く、トロピカルフルーツや柑橘系のジューシーな香りが特徴。苦味は控えめで、なめらかな口当たりとフルーティーな甘みが感じられます。まるでジュースのような飲みやすさで、苦いビールが苦手な方にも人気です。

  • うちゅうブルーイング「宇宙IPA」シリーズ: 濁り系IPAの火付け役。毎回異なるホップ使いで多くのファンを魅了。
  • 伊勢角屋麦酒「ねこにひき」: パッションフルーツのような香りと、滑らかな口当たりが魅力の人気ヘイジーIPA。
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3. 和素材系・和IPA

特徴と味わい: 柚子、緑茶、山椒、梅など、日本の旬の素材を副原料として使用したIPA。IPA特有のホップアロマに和素材が加わることで、深みや複雑性が増し、独特の香りと味わいが生まれます。食事とのペアリングもしやすく、日本のクラフトビールならではの多様性を感じられます。

  • 京都醸造「一期一会」: 抹茶やほうじ茶など、日本の茶葉を使ったIPAを定期的にリリース。
  • Far Yeast Brewing「馨和 KAGUA Rouge」: 山椒の香りが特徴的な、和の要素を取り入れたIPA。

Ⅱ.多様化するビアスタイルと地域との連携。

IPAは元々、強烈な苦味が特徴のスタイルでしたが、日本のクラフトブルワリーは、その枠を超えたユニークなIPAを次々と生み出しています。例えば、地元産の果物やスパイス、茶葉などを取り入れたIPAは、その地域のテロワール(風土)を表現する手段として人気です。また、特定のイベントやアーティストとのコラボレーションIPAも増えており、ビールを単なる飲み物ではなく、文化や体験と結びつける動きが活発になっています。これにより、ビールファンだけでなく、幅広い層にアプローチしています。

1. 陸前高田マイクロブルワリー「Crescent IPA」

このIPAは、岩手県陸前高田市と米国カリフォルニア州クレセントシティの姉妹都市提携から生まれました。東日本大震災で漂着した実習船が縁となり、友好の証として現地ブルワリーの協力を得て醸造されたIPAです。単なるビールではなく、人と人との「繋がり」や復興への想いが込められた、ストーリー性のある一杯。IPAのホップの香りと苦味の中に、特別な意味を感じることができます。

2. 横浜ビール「横浜綱島桃エール / PEACH ALE」

横浜ビールは、地元の特産品を活かしたビール造りを積極的に行っています。この「横浜綱島桃エール」は、横浜市港北区綱島で栽培されている桃を使用したフルーツエールですが、IPAの要素も取り入れられています。桃のフルーティーな香りと甘みが、IPAのホップアロマと絶妙に調和し、地域の風土と職人技が光るユニークな味わいを生み出しています。

3. 京都醸造「一期一会」

京都醸造は、日本の文化や食材をテーマにしたユニークなビールを多く手がけています。中でも「一期一会」は、その時々で異なる茶葉や和素材を使用するシリーズです。抹茶やほうじ茶の香ばしい風味や渋みがIPAの苦味と組み合わさり、他にはない複雑で奥深い味わいを表現しています。飲むたびに新しい発見があるため、ビールファンにとって特別な一本となります。